- 2026年、GoogleはINPの計測方式を静かに厳格化——スコア基準200msは変わらず、内部の測り方が変わった
- 「LCP基準が2.0秒に変わった」という情報が出回るが、Google公式ドキュメントは2.5秒のまま変更なし
- INPの見直しでボーダーライン付近のサイト、特にプラグイン過多のWordPressサイトが影響を受けやすい
- PageSpeed InsightsのCrUX28日間フィールドデータで75パーセンタイル値を確認するのが実務上の第一歩
「LCPの基準が2.0秒に厳しくなったらしい」——2026年に入ってこの手の相談が急に増えた。診断ツールを運営していると、こうした「聞いた話」がどこまで一次情報に基づいているのか確認する作業が日常的に発生する。結論から言えば、このLCP2.0秒説はGoogle公式ドキュメントの記載と一致しない。一方で、INPについては実際に地味だが実務上無視できない変更が起きている。両者を混同して語られることが多いため、この記事では一次情報ベースで整理し直したい。
まず確認:2026年時点の公式基準
| 指標 | Good基準(2026年9月時点) | 2026年の変更有無 |
|---|---|---|
| LCP(Largest Contentful Paint) | 2.5秒以下 | 基準値の変更なし(一部情報源は2.0秒説を主張するが未確認) |
| INP(Interaction to Next Paint) | 200ミリ秒以下 | 基準値は変更なし、計測方式(内部ロジック)が厳格化 |
| CLS(Cumulative Layout Shift) | 0.1以下 | 変更なし |
この表の通り、3指標とも「合格ライン」の数字自体は動いていない。動いたのはINPの「測り方」だけだ。ここを混同すると、対策の優先順位を誤ることになる。
INP計測方式の厳格化——何がどう変わったのか
2026年に実際に起きた変更は、INPのスコア基準そのものではなく、その基準に到達するまでの「測り方」の見直しだ。従来のINP計測は、ページ内で発生した複数の操作の中から遅延を評価する際に、ある程度の平滑化がかかっていた。この平滑化には副作用があり、たとえば決済ボタンを押した瞬間だけ0.5秒近く固まるサイトでも、その前後の軽快なスクロール操作に埋もれて全体スコアには反映されにくいという問題があった。2026年の見直しでは、この「たまに起きる重い操作」をこれまでより見逃しにくくする方向に計測ロジックが調整され、あわせてSPA(シングルページアプリケーション)向けのソフトナビゲーション対応もCrUX側で拡張されている。結果として、複数のプラグインやスクリプトがクリックイベントに次々とフックしているような、いわゆる「詰め込み型」のWordPressサイトほど、コードを一切変更していないのにINPスコアが悪化して見えるケースが報告されている。
「LCP2.0秒」説はどこから来たのか
2026年3月のコアアップデート前後から、一部のSEOブログで「LCPのGood基準が2.0秒に引き下げられた」という主張が繰り返し引用されるようになった。しかし複数の情報源を突き合わせて確認したところ、Google自身のweb.devおよびSearch Central上の公式ドキュメントは、この記事執筆時点でもLCP2.5秒以下をGoodの基準として明記しており、2.0秒への変更を示す一次情報は見つからなかった。おそらく特定のSEOサイトが発信した未確認情報を、他のサイトが検証せずに孫引きし続けたことで、あたかも既定路線であるかのように広まったと見られる。本記事では一次情報を優先する立場から、LCP基準は2.5秒のまま変更されていないという扱いで統一している。読者の側でも、こうした数字の一人歩きに触れた際は、必ずGoogle公式ドキュメントに立ち返って確認する習慣をおすすめしたい。
自社サイトのCore Web Vitals、今どの状態か把握していますか?
サイト診断ProはLCP・INP・CLSのフィールドデータとラボデータを同時に診断し、改善優先度をレポートします。
無料で診断を始める実務的な診断手順:何をどの順番で確認するか
まずPageSpeed Insightsで対象URLを診断し、ラボデータ(Lighthouseスコア)とフィールドデータ(実際のユーザー環境での計測値)の両方を確認する。ラボデータだけが良好でフィールドデータが悪い場合、実際の訪問者の多くが低速な回線・端末を使っている可能性が高く、開発環境の体感だけで「速い」と判断するのは危険だ。次に、CrUXの28日間ローリングウィンドウでの75パーセンタイル値を確認する。これは「訪問者の4分の3がこの数値以下で体験できている」という意味であり、単発の計測値より実態を正確に反映する。INPがボーダーライン付近にある場合は、web-vitals JSライブラリの最新版(v4以降)を使って個別のインタラクションごとの遅延を可視化し、どのイベントハンドラが重いのかを特定する作業が次のステップになる。プラグインを多用しているWordPressサイトであれば、まず不要なプラグインの棚卸しから着手するのが費用対効果の高い改善策だ。
計測頻度と運用のコツ
Core Web Vitalsは一度計測して終わりにできる指標ではない。CrUXのデータは28日間のローリングウィンドウで更新され続けるため、プラグイン追加やテーマ変更、キャンペーン用のLPを新設するたびにスコアが動く可能性がある。実務上は月次でPageSpeed Insightsのフィールドデータを確認し、直近で悪化した兆候がないかをチェックする運用が現実的だ。特にINPの計測方式が厳格化された2026年以降は、これまで「合格」だったページが計測方式の変更だけで数値上悪化して見えるケースもあるため、コード変更をしていないのにスコアが下がった場合は、まず計測方式側の変化を疑うことも一つの判断材料になる。あわせて、モバイル端末での実測を優先することも忘れないでほしい。開発機は高性能なPCであることが多く、実際の訪問者の多くが使う中価格帯スマートフォンでの体感とは乖離しがちだからだ。
よくある質問(FAQ)
2026年にLCPの合格基準は2.0秒に変わったのか?
変わっていません。一部のSEOブログでは2.0秒への引き下げが主張されていますが、Google公式ドキュメントでは2026年9月時点でもLCP2.5秒以下がGoodの基準として維持されています。本記事では一次情報を優先し、公式基準である2.5秒を採用しています。
2026年のINP計測方式の変更とは具体的に何か?
スコアの合格基準(200ミリ秒)は変わっていませんが、断続的に発生する遅延をこれまでより見逃しにくくする方向に計測ロジックが調整されました。SPA向けのソフトナビゲーション対応もCrUX内で拡張されています。
この計測方式の変更でどのサイトが影響を受けやすいか?
75パーセンタイルで余裕を持って合格しているサイトへの影響はほぼありません。INPがボーダーライン付近だったサイト、特にプラグインを多用するWordPressサイトでは数値が悪化して見えることがあります。
Core Web Vitalsは検索順位に直接影響するのか?
ページエクスペリエンスシグナルの一部としてランキング要因に含まれていますが、コンテンツの関連性や品質に比べると影響度は小さいとされています。顧客体験対策として捉えるのが実務的には妥当です。
自分のサイトのCore Web Vitalsをどう確認すればよいか?
PageSpeed Insightsでラボデータとフィールドデータの両方を確認し、特にCrUXの28日間フィールドデータでの75パーセンタイル値を重視してください。