- AI検索利用率は私的8.4%→27.6%、業務9.4%→29.9%へ約8ヶ月で3倍以上に急伸(Hakuhodo DY ONE調べ)
- 検索の23.9%(約4人に1人)がサイト訪問なしで完結する「ゼロクリック」
- 一方で32.8%はAI回答後も検索エンジンで追加検索しており従来型SEOも継続必要
- AI回答を信用するユーザーの7.4%は実際に購入・来店行動まで踏み出している
「うちのサイト、アクセス数が減っているのにお問い合わせは増えている」——最近こういう相談を受けることが増えた。担当者は流入減少に頭を抱えているが、実は成果自体は落ちていない。この一見矛盾した現象を説明してくれるのが、Hakuhodo DY ONEが2026年5月15日に公開した「AI検索白書2026」だ。次世代検索研究所piONEerによるこの調査は、AI検索がユーザー行動をどう変えたかを独自データで示しており、単なる感覚論ではなく数字として裏付けている。
8ヶ月で3倍以上——AI検索利用率の急伸ぶり
白書が示す最も衝撃的な数字は利用率の伸び方だ。私的な場面でのAI検索利用は8.4%から27.6%へ、業務での利用は9.4%から29.9%へと、いずれも約3倍以上に急伸している。しかも興味深いのは、これまで顕著だった年代間の利用率の差がほぼ消失したという指摘だ。若年層だけの現象だと思われていたAI検索が、中高年層にも急速に浸透していることになる。ChatGPT・Perplexity・Google AIモードの日本語対応強化や、ChatGPTのショッピング機能拡充といった各プレイヤーのアップデートが相次いだ時期と重なっており、利用率の急伸は偶然ではなく明確なトレンドと見るべきだろう。
| 指標 | 調査時点 | 数値 |
|---|---|---|
| AI検索利用率(私的) | 2025年→2026年 | 8.4%→27.6% |
| AI検索利用率(業務) | 2025年→2026年 | 9.4%→29.9% |
| ゼロクリックサーチ率 | 2026年時点 | 23.9% |
| AI回答後に追加検索する率 | 2026年時点 | 32.8% |
| AI回答きっかけの購入・来店率 | 2026年時点 | 7.4% |
「ゼロクリック23.9%」は本当に敗北なのか
数字だけを見ると、約4人に1人がサイトに来訪しないまま検索を終えている状況は、Webマーケターにとって不吉に見える。だが白書はこの数字を単純な機会損失として片付けていない。まず、ゼロクリックの内訳を見ると、AI回答だけで完全に解決した割合と、AIへの追加質問はしたがサイト訪問には至らなかった割合に分かれる。さらに重要なのは、32.8%のユーザーがAIの回答を得たあとも検索エンジンで追加検索を行っているという事実だ。これはAIO(AI最適化)が進んでも従来型SEOが不要になるわけではなく、両者が併存する構造に移行していることを意味している。ゼロクリックが増えたからといってSEO予算をゼロにするのは、むしろ32.8%という追加検索の受け皿を自ら手放す判断になりかねない。
7.4%という数字の重み——AIが購買の起点になる時代
もう一つ見逃せないのが、生成AIの回答を信用しているユーザーのうち7.4%が、実際に商品購入や来店行動へと踏み出しているという結果だ。一見小さな数字に思えるかもしれないが、これはサイトへの訪問すら経由せず、AIの回答だけを根拠に人が財布を開いたり店舗へ足を運んだりしているという意味であり、従来のファネル設計では捕捉できない購買経路が既に存在することを示している。白書自身も、AI検索が実際の購買・来店に繋がっている以上、AIOへの対応は早期に着手すべき重要なマーケティング施策だと分析している。この7.4%は今後、Ads in AI OverviewsやAIモード広告、ChatGPTのショッピング機能拡充によってさらに伸びていく可能性が高い。
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実務者として提案したいのは、KPIをセッション数中心から「言及・引用」中心へ段階的にシフトすることだ。具体的には、AI回答内での自社ブランド名・商品名の言及有無を定期的にチェックする、AI経由と思われる指名検索(会社名・サービス名での検索)の推移を追う、問い合わせフォームで「どこで当社を知ったか」にAI検索の選択肢を追加する、といった小さな変更から始められる。同時に、32.8%が追加検索している事実を踏まえれば、基礎的なSEOコンテンツの充実とFAQ・構造化データの整備は引き続き投資対象であり続ける。ゼロクリックの時代は「何もしなくていい時代」ではなく「見える化の方法を変えるべき時代」だと捉えるのが実務的には正しい。
背景にあるプラットフォーム側の変化
この急伸は利用者側だけの変化ではない。同時期、英語圏ではAI Overviews内への広告掲載(Ads in AI Overviews)が始まり、Google AIモードの広告提供も動き出した。日本語版AIモードの提供開始、PerplexityやChatGPTのショッピング機能拡充も同じ時期に重なっている。つまりプラットフォーム側が「AI検索の中で完結する体験」を収益化する仕組みを急ピッチで整えている最中であり、ユーザーの行動変化とビジネス側の投資が同時進行している状況だ。この流れを踏まえると、AI検索経由の購買が7.4%からさらに伸びていくのは自然な予測であり、対応を先送りする理由は薄い。
よくある質問(FAQ)
AI検索白書2026とは何か?
Hakuhodo DY ONEの「次世代検索研究所 piONEer」が2026年5月15日に公開した調査レポートです。AI検索サービスの利用実態、ゼロクリック検索の広がり、購買行動への影響などを独自データで分析しています。
ゼロクリック検索の割合はどのくらいか?
全体の23.9%、おおよそ4人に1人がWebサイトに遷移せず検索行動を完結させています。一方で32.8%はAIの回答を得た後も検索エンジンで追加検索を行っています。
AI検索利用率はどれだけ伸びたのか?
私的利用は8.4%から27.6%へ、業務利用は9.4%から29.9%へと約3倍に急伸しました。年代による利用率の差もほぼ消失しています。
ゼロクリックは本当に機会損失でしかないのか?
一方的な損失とは言い切れません。AI回答を信用しているユーザーの7.4%が、その回答をきっかけに商品購入や来店行動に踏み出したと報告されています。
中小企業はKPIをどう見直すべきか?
AI回答内でのブランド名・商品名の言及有無、AI経由の指名検索の増減、AI回答をきっかけにした問い合わせ・購入の有無へと計測の軸を広げつつ、基礎的なSEOとコンテンツの厚みも維持すべきです。